【磨が注す】

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【磨が注す】

あの時、思わず口走った偽りの言葉から友人、そして飼育係という特権を手に入れた私は、その後も要所要所で同じことを繰り返すことになる。 『魔』で『間』を埋め尽くす 不思議なことに、私が口にした嘘は、なぜか誰からも見破られたり、咎められたりすることがなく、あれだけ気が重かった登校がいつの間にか楽しいものへと変化していった。それと平行して、なぜか学業の方でも徐々に成績が伸び始め、私は周囲から秀才と目されるようになる。 そして『魔』に『磨き』が掛かる もちろん努力はした。だけど自分の力が及ばない所で小さな嘘やズルをすることで、私はいつしか両親と同じく医学の道を志していた。 生化学の分野で学位を取得し、さらに高みを目指して海外留学を果たすことで、私は再生医療の分野では最先端と言われた研究機関の職員に採用された。 しかし、その光輝くキャリアはやがて破綻を迎える......
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