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第1章 精霊使い スリン
スリン・フォン・グリュエルはごくごく普通の貴族の少女だった。
髪色と瞳の色が少し変わった色をしていたけれど、それ以外は、ごく普通の、少女だったのだ。
「お父様、行ってまいります!」
スリンは今日も学友たちとともに学び舎に向かう。この学び舎は貴族の子弟が通う、研究のためとは別の学び舎だ。
「スリン。おはよう」
スリンの親友、エリッサ。どちらかというと大人しく、引っ込み思案なスリンを引っ張ってくれる大切な友人だ。そんなエリッサが、珍しく少し、声を潜めてスリンに問うた。
「ねね、スリンって今のお父様の養子ってほんと?」
スリンは少し困った顔をした。そんなことは聞いたことがなかった。ただ、昔、周りに生まれ月が合わないということを噂程度に聞いたことはあった。
「わたくしには分からないわ」
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