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うんうんと頷く愛美は今にも泣き出しそうだ。
「親同士が決めた結婚だもの、もしかしたら裕彦さんは私のことを愛していないかもしれないじゃない
……もしもそんなことがあったら、パパもママも哀しむわ」
「色々と言いたいことはあるけど、まずなんで私なのよ」
「美希しか頼める人がいないじゃないの!」
中流家庭の親の見栄で私立女子校に通わせられていた美希は何故か愛美に酷く懐かれてしまった。
卒業後は自頭の良さを活かしそれなりに名のある大学に通い、学費を補填するためにバイトに明け暮れる日々であったが愛美との交流は続いていた。
「ねぇお願いよ、何にも知らないフリして声を掛けてくれるだけでいいの!そうだ、パパにお願いして美希の学費だって出すわ!結果次第ではパパの名誉にも関わることですもの!」
喫茶店の中で大きな声をあげた愛美を慌てて宥めながら、美希の頭に学費の文字が踊る。
高校の時から愛美は何かと美希を頼り、そのお礼をもらって美希が美味しい思いをして来たのは事実である。
「……学費、高いわよ」
「おいくらなの?愛のためなら安いものだわ」
ここに愛美のスパイが誕生した。
後日、親ばかを拗らせた愛美の両親公認で美希は裕彦に迫ることとなったのだ。
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