癒しとの出会い

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全身に走る痛みに、オレは立ち上がることができなかった。 それはそうだ、死ななかったとはいえオレの体力はあと5しかない。 それ相応の痛みがあるのは当然だ。 そして立ち上がることの出来ないオレに、あの子がのしかかってくる。 多分止めを刺すためだろう。 もともと覚悟は決めていたし、抵抗することなくオレは目をつむった。 だがいつまでたっても止めの一撃がこないので、何か起きてるのだろうかと目を開ければあの子がスリスリとオレの胸元に身体をこすりつけていた。 一体どうい事かと思いながらも、恐る恐るその子の背中を撫でてみたら気持ちよさそうに目をつむり手に身体を預けてくる。 想像通りのモフモフ感に思わず笑みを浮かべる。 『その子、なんでだか知らないけれどアデルに懐いたみたいだね』 やっぱりこれは懐いてるのか…心当たりはないけれど戦わなくていいならそれでいいや、かわいいし。 「お前、一緒に来るか?」 相変わらずモフモフを堪能しながらオレはその子に問いかける。 オレの問いかけに一瞬だけ間が空いたが一緒に居たいとばかりにスリスリが激しくなった。 激しすぎて摩擦熱でめっちゃ手が熱いけども。 「じゃあ一緒に行こうか」 オレの言葉に嬉しそうに顔を摺り寄せるその子を一旦身体から降ろし上体だけ持ち上げ起き上がる。 『名前つけてあげないの?』 【ブローノ】の言う通り一緒に行くとなるとこの子に名前を付けた方がいいだろう。 野良のホーンラビットと区別しやすくなるし、そもそも種族名じゃ呼びにくい。 「どんな名前がいいかねぇ」 その子の背中を撫でながらオレは必死に考える、この子も待っているのか大人しく撫でられている。 しかしこうやって見ると本当にウサギと変わらないな、あんまり魔物って感じがしない。 「そうだラビットからもじってラヴィってのはどうだ?」 オレがそう言ったと同時にその子の首元が光り、オレは思わず目を閉じた。 光りが落ち着いた頃に目を開けると、その子の首にはさっきまでなかった首輪が付いていた。 ≪スキル、魔物使役(テイマー)獲得しました≫ ≪ジョブ、テイマーになりました≫ 自動的にステータス画面が現れたと思ったらそんなメッセージが出ていた。 どうやらスキルってのは行動で習得する場合もあるらしい。 今回はラヴィに名前を付けたのがきっかけなんだろうな。
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