癒しとの出会い

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「マスター様、素敵な名前をありがとうございます」 不意に聞こえた声に驚き撫でる手を止めじっとラヴィを見つめる。 「どうかしましたかマスター様?」 再び声が聞こえ声の主はまごうことなきラヴィだと分かる。 えっ?魔物ってしゃべるの? さっきまで全然しゃべらなかったじゃんか 『魔物は上位の魔物ぐらいしかしゃべらないけど、アデルはテイマーだから主従契約交わした魔物の言葉なら分かるようになるよ。 ちなみにこの世界ではテイマーと契約した魔物は守護獣って呼ばれるんだ』 オレは再び【ブローノ】にこの世界の事を教えてもらい、ラヴィの言葉が分かった理由に納得した。 あくまでオレがテイマーで契約を交わし守護獣になった魔物の言葉なら分かると。 そして言葉を発する魔物は上位だから気を付けろと、そういう事だな。 何も言葉を発しないオレにラヴィが心配そうに見ている事に気づき、ラヴィの背中を撫でてやりながら安心させるように言葉を紡ぐ。 「なんでもないよラヴィ、オレはテイマーとして新人だからな。 友達に色々教えてもらわないといけないんだ」 「友達…ですか?」 まぁ疑問に思うのは当然か、今この場所にはオレとラヴィしかいないのに友達と話してたみたいな事言ってんだもんな。 オレはラヴィに包みくさずオレ自身が記憶喪失な事、【チュートリアル】という【ブローノ】の事を伝えた。 「【チュートリアル】というのが何かわかりませんが【ブローノ】様というお方がマスター様の中にいるのですね。」 【チュートリアル】が何なのかラヴィにもわからないみたいだけど、とりあえず納得はしたらしい。 スキル欄にもなかったしな、よく考えれば【チュートリアル】ってなんなんだろうな。 「とりあえず、これからよろしくなラヴィ」 「はい、マスター様!」 オレは立ち上がりラヴィを肩に乗せてやる、肩に乗せていればいつの間にかはぐれたってことはないだろう。 でも忘れてはいけない、オレは死にかけである。 再び魔物が出てきたら全力で逃げるべきだろうな。 「ごめんなさい、マスター様。 ぶつかる直前に角が刺さらない様にしたんだけど、思い切りぶつかったから…痛いよね?ごめんなさい」 謝るラヴィに気にしなくていいと頭を撫でてやる。 そういえば串刺しになってもおかしくなかったのにならなかったのはラヴィのおかげだったのか。 あれ?ラヴィが角を避けてくれなかったらもしかして一撃死でした? 『まちがいなく一撃死だったよ』 ですよねぇ
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