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変人で、自己中心的で、放浪癖があるあなた。
こう言ってしまえば、まるでいい所がないみたいな感じだけど、確かにあなたのいい所って本当に少ないと思うわ。
それでも私はあなたに惚れてしまった。
いつもキラキラと輝いていて、私にはそれが嬉しく、同時に羨ましくもあったの。
あなたが私のどんな所に惚れたのかは知らないけれど、永遠の子供のようなあなたが見せた「男」の顔にドキッとしてしまったの。
あの時の強引すぎるプロポーズを受けたのはそんな単純な理由だったのよね。
そんなこと言ったらあなたは「わざとだよ」とかあることないこと言ってニヤニヤ笑うだろうけど。
あんなにプロポーズは強引だった割に、放浪癖は相変わず。でも分かってた。それがあなたの性格だって。
付き合いたてはもちろん、私もあなたに不満だったけれど「惚れたが負け」。
許してしまう私はもう手遅れよね。
たまに、わざとじゃないかと思うほどの絶妙なタイミングで私を連れ出すのはどうかと常々思ってたの。あなたに他意はないのでしょうけど、こちらは変に勘ぐってしまうもの。
あなたが浮気していないのは分かっていても、ね。
私を連れ出す時はいつも愛用のカメラを持っていたけど、景色じゃなくて私ばかりを撮るのも謎だったわ。
とても気恥しかったけれど、ファインダーから目を離して私を見るあなたの目があまりにも楽しそうだから文句の1つも言えないの。いつも、いつも。
私が1番覚えているのはね、アサガオを見に行った時。
アサガオ好きなんだ、ってあなたが言って1本ちぎって私にくれたの。プレゼントなんて、滅多にしない男なのに。
人様のアサガオを勝手にちぎらないってあの時は言っちゃったけど、内心すごく嬉しかったの。照れて天邪鬼みたいなことを言ってしまって、ごめんなさい。
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