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たしかに下ばかり向いていた人生かもしれない。
波が静かに浜辺に打ち上げる音を聞きながら、僕も静かに上を向いた。
「あ!あれはオリオン座ですね」
彼女は、不意に夜空を指さした。
彼女の指の先を目でたどると、真ん中に明るい星が3つ並んだ砂時計のような形をしたオリオン座が見えた。
「あれはふたご座で、近くにあるのがぎょしゃ座です」
「星座、詳しいんだね」
彼女は、にこっと笑って答えた。
「好きなんです。でも、星座って昔の人が明るい星を好きなようにつないで、連想しただけなんですよね」
「この無限の星をつないで、何かに見立てられるのはある意味尊敬するな」
「逆にいうと、なんでもいいんです。自由ですよ。だって、空をキャンバスに点をつないで好きな絵を描けるんです」
彼女は空に向かって、指を動かした。
「あれは私が考えたハート座です。」
彼女は、明るい星を数個指差してハートを描いた。
「かわいいね」
「あなたも何か作ってください。」
「そうだなぁ」
僕は、大量の星とにらめっこしながら、指を動かす。
「あの星を三角形につないで、下のあの星とあの明るい星をつなぐと、ヨットみたいに見えない?」
「見えます見えます!帆を張って進むやつですね!」
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