第1章

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エン、布団に寝そべってキューブを回す。 枕の下に「またバトルしよーね!」と書かれた、小学生時代のエンとナガレの写真がある。 〇エンの家・二階の廊下(夜) 兄のセン(高一)階段を上ってくる。 エンの部屋から光が漏れている。 〇エンの部屋(夜) スリッパの音が聞こえて、エン、急いで布団の中にキューブを隠す。 セン、扉を開ける。 エン、慌てたせいで変なかっこうで布団から足と頭が出ている。 セン「早く寝ろよ。入学式寝坊すんぞ」 エン「う、うん! もう寝るとこ!」 セン「なら良いけど。電気消すか?」 エン「うん、ありがとう兄ちゃん」 セン「ん。おやすみ」 布団が不自然に翻っている。 セン、眉をひそめながら電気を消し、扉を閉める。 エン「おっ、おやすみ!」 エン、はーっと胸をなでおろし、掛布団の中にもぐる。 布団の中で、キューブを数回転させるとLED搭載のキューブが光る。 エン「あとちょっとだけ……」 布団をかぶったまま、エンはキューブを回し続ける。 〇中学校前の通学路(朝) 真新しい制服を着た中学生や入学式の服装をした親がたくさん歩いている。 快晴。 桜が舞い散る。 複数の子の鞄にキューブを模したキーホルダーやグッズがついている。 エン「ふわぁーあ」 エン、大きなあくびをする。歩きながら伸びをする。 フタバ「おっはよ! まぁた遅くまでキューブしてたんでしょー」 エンの幼馴染、セーラー服を着たフタバ(中一)、バッグでエンの肩を小突く。 エン「ば、ばか、母さんにきかれたらっ」 エン、振り返る。 エンの母親とフタバの母親は少し距離をあけて談笑している。 フタバ「まだ隠してるの?」 エン「いーだろ別に」 フタバ「いーけどねっ! ま、部活はいったら学校でやり放題じゃないっ?」 エン「あー……うーん……」 エン、頭をかく。 フタバ、エンの顔を覗き込んで、頬を膨らませる。 フタバ「(小声で)そっかそっかまだだめかぁ」 エン「ん? なんか言った?」 フタバ「いーや、なんでもないっ! がんばれ少年っ!」 フタバ、エンの背をバン、と叩く。 エン、よろめく。 〇中学校・講堂(朝) ステージには「入学式」の垂れ幕。 〇講堂・ステージ上 教頭先生「では次は、各部活部長より、部活動紹介です」 突然照明が落ちるステージ。 スクリーンが降りてくる。 ビビッドなクラブミュージックが流れる。
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