第1章

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プロジェクターが点灯。3・2・1の表示のあと、スクリーンに映し出されるカラフルな映像。 〇講堂・ステージ上のスクリーン MC「バトォオオオオルキューゥウウゥブ!」 バトルキューブ番組のロゴが映る。 MC「バトルキューブのルールブック! シンプルイズベストにプルリクエスト!」 デコラティブなバーチャル空間に浮かぶ二人の人物、アバターが次々に変わる。 MC「五手ずつ交代ウルトラB! 六面揃えた方が勝ち! そんな感じで無問題!」 テンションの高いMCがラップ調にルールを解説する。 手元で交わされるキューブと連動して、背景に大きく映されたキューブも次々にパターンを変える。 MC「七分の持ち時間が切れたら負けって単純明快、奇々怪々奥深さなら金ぴか時代!」 映像に大きく、「今夏・世界大会開催決定」の文字。 MC「今年! 初の世界大会が開催決定! アーイ? エントリー絶賛募集中! まだまだ熱くなるバトルキュゥウウウブ! 革命児たち、アーユーレディー?」 映像、ぶつんとアナログチックに終わる。 〇講堂・ステージ(朝) 明るくなるステージ。 壇上に黒木コウ(中三)が立っている。 手元にはスクランブルされたキューブ。 コウ「バトルキューブ部、部長、黒木コウです。ただいまご覧いただいたように、バトルキューブ部では、今夏の大会を目指し、活動を始めます」 コウ、肩をすくめ、一度目を閉じる。 深呼吸して、スクランブルされたキューブを手に取る。 五秒キューブを眺め、突然回転させる。瞬時に六面が揃う。 ざわめく客席。 〇講堂・客席(朝) 女生徒A「すっごいね、動画の中の人みたい」 女生徒B「人間技じゃないよねえ」 フタバ「すっごーい!」 エン「……ぼくのが速いし」 エン、行儀悪く頬杖をついている。 〇講堂・ステージ(朝) コウ「初心者でも、大会までにこれぐらいはできるようになります。ちゃんと教えます。新設の部活なのでまだ部員はぼくだけですが……一緒に大会を目指しましょう!」 コウ、やわらかく笑い、眼鏡を持ち上げる。 〇講堂・客席(朝) エン、ねむそうにあくびをする。 〇講堂・ステージ(朝) ステージ上から、コウ、エンを見る。 コウ「最後に……赤嶺エンくん! あとで部室にきてください! 以上っ!」 〇講堂・客席(朝) フタバ「エンってばゆうめいじーん!」 エン、ひじかけから頬杖をついていた肘が落ちる。 エン「……はぁ?」
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