お別れの、二年後。

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 いつのまにか純平がいない。優衣は、屋根と屋根の間から、空を見上げた。  空なんか見上げたって、涙なんてちっとも止まらない。溢れ出す一方だ。小説とか歌詞とか。ほんとあんなの、嘘ばっかり。  どたどたどたっ、と、階段を駆け上がってくる足音がした。したかと思うとすぐに、優衣の部屋のドアが開け放たれた。 「優衣っ」  純平が飛び込んできた。そして、その勢いのまま、叫んだ。 「結婚しようっ」  優衣はぽかんとして、一つしゃくりあげてから、言った。 「死んで」 「なぜっ」  優衣は泣きっ面のまま、いつものあきれ顔を作った。 「いや、それこっちの台詞。今私、あんたのことふったんだけど」 「だからなんでっ。俺たち、両思いじゃんっ」  不可解そうにそう訴える純平に、優衣は言った。 「だって私、このままだとバスケット好きになれない」 「いいじゃねえかっ、べつに」 「いや」 「なんでっ?」 「だって」  優衣の頬に、大雨が降る。 「好きな人の、好きなものなのに」  そう言って、子どものように、泣きじゃくった。
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