お別れの、二年後。

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 私の恋敵は、かわいらしくはしゃぐ後輩でも、元マネージャーの大学生でもない。  いつだって、バスケットボールだけだ。あいつだけが、身を焦がすほど、憎たらしい。  いつのまにか優衣は、純平の腕の中にいた。大きな手が、優衣の頭をなでる。  バスケットボールと私、どちらの方が触り心地が好いだろうか。こんな時まで、そんな対抗心が芽生えた。 「覚えてるか? 俺がお前に、弱音吐いた日のこと」  純平が、優衣にそう問いかけた。 「ほら、俺がスランプだった時期、あったろ。いつだったか、バスケット辞めようかなって。優衣にこぼしたこと、あったじゃん」  そう言われて優衣は、ああ、と声を上げた。 「スランプなんて、何一丁前なこと言ってんのハゲって、私が言ったやつ?」 「えっ。うん。えっ? 俺、そんなこと言われたんだっけ?」  思い出すげえ美化してんな俺、と、純平はおかしそうに笑った。 「あの時一番怒ってくれたの、優衣だった。もうすげえ形相でさ。俺殺されんじゃないかって思ったくらい」 「だって、バスケットしか取り柄ないくせに」  誰よりも、たくさん練習してたくせに。誰よりも、何よりも。バスケットが好きなくせに。  誰よりも私が、それを知っていたのに。
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