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「お前がずっと、バスケットにヤキモチ妬いてたこと、知ってた。うまく応援できなくて、やきもきしてたことも。だけど」
初めて聞く穏やかな声が、優衣の頭上に降り注ぐ。
「優衣が、誰よりも俺のことを応援してくれてること。俺が一番よく知ってる。たとえ優衣がそう思ってなくても。俺にはちゃんと届いてたよ」
それに、と続けてから、
「優衣がヤキモチ妬いてくれんの、じつはちょっとうれしいんだよね、俺」
そう言って、はにかむように笑った。
「なにそれ」
優衣は泣き笑いになった。このあまったるい空気が、どうにも照れくさい。
「一つ、訊いておきたいんだけど」
優衣がそう切り出すと、純平は愛おしげに優衣を見つめて、なに? と言った。
「SNSに一緒に載ってた、日系アメリカ人の女の子。あれ誰?」
笑顔のまま、純平は固まった。
優衣も、笑顔のまま続けた。
「結婚の話は、一旦ナシね」
「待て待てっ。言っとくけど、誘われて一回デートしただけだからっ。元マネージャーもその子もっ」
「あーあ。やっぱり私も、先輩とデートしよ」
「ちょっ、優衣ちゃんっ? 誰、先輩ってっ。聞いてる? ねえっ」
星屑たちが、あきれたように笑っていた。
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