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5.
一時間が経って、レブナントは自分の後悔が遅すぎた事を知った。
仲間を失った彼は、何度も転移の仕掛けに飛ばされ、完全に方向感覚を失っていた。しかも迷路を歩いている間、常に誰かに見張られているのを感じる。それが余計に彼を苛つかせた。
いつまでも続くかと思われた罠をついに抜けると、彼は巨大な青いタイル張りの広間にたどり着いた。
そこもまた異様な様式だった。広間の中央には光る立方体が荷のように無数に積まれていた。立方体は時々消え、また新たな四角が天井から現れては落ちて積まれ、それを繰り返していた。
レブナントは目を細めた。各ブロックの内部に何かが透けて見える。映っているのは、彼がこれまで歩いてきた箱部屋の中そのものだった。転移した空間はここで次々と積み重なり、新たな場所へと送られているのだ。
レブナントの怒りが頂点に達した。彼は帯刀していた剣を抜いて、地面に突き刺した。
「この意地くそ悪い遊戯を止めやがれ!」
怒りの声が広間中に反響した。
「汝はわが宝珠を望む者か。是か否か」
声は突然、レブナントの頭にはっきりと届いた。
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