ミスター・レインマン(Ⅱ)

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 我々が慎重に段階を踏んでやってきたことがすべて水泡に帰してしまう、と。  「ごめんなさい!ホントにごめんなさい!許して!ねえ、許すと言って!」  「チクショウ……チクショウ……」  「お二人とも、一旦外に出ましょう、ね?何か飲んで一服つきましょう」  「ああ許して!わたしがあの子を死なせたの!許して!」  「チクショウ……自殺なんて……首つりなんて」  「○○さん!いいですか、二人とも、落ち着いて!」  「許してよぉ!」  「ねえ……ジサツってなに?」    それぞれの思惑が乱雑に入り混じった混濁の中、医師たちの苦労や苦悩はまさに水の泡のように弾け飛び、跡形もなく消え失せた。        精神を患ってしまう子供の多くは、親からどれだけ理不尽かつ身勝手極まりない虐待を受け、自分の身や心にどれだけ深い傷を負ったとしても、決して親を責めることはない。  すべては自分が悪いんだ、自分がいい子にしていないから親は怒鳴ったり叩いたりするんだ、自分が耐えていればきっと親は優しくしてくれるんだと思う。  あるいは思い込もうとすると言った方が正しいのかもしれない。     
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