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私は休日に覚えたての薄化粧をした彼女達が澄まし顔で街へ繰り出していくのを何度も見たことがあった。
大体想像がつくとは思うのだけれど、そんなオマセな女の子達と、泥や汗やにまみれた野生児の私の間にほんの一端でも噛み合うことができる歯車など当然あるはずもなかった。
彼女達に私は理解出来なかっただろうし、私は私で彼女達を何一つ理解出来なかった。
そして人でも国でも惑星でも、解り合えないモノ同士がやがて辿り着く先の宿命として、私達の関係はひどく剣呑なものとなった。
おまけにある日の放課後、私が彼女達のお気に入りの一人である男子生徒と楽しそうにサッカーをしていたことがずいぶん気に障ったようで、次の日から私を見つめる彼女達の目付には、蔑みと憎悪と荒れ狂うような嫉妬心が余分に足されることとなった。
―― どうしてそんな下らないことで怒らなければならないのだろう? ――
子供ながらに私はそんな疑問を抱いて首を傾げた。
そう、彼女達の問題は何も背伸びをして大人ぶることなどではなく、その偏狭な考え方にあった。
彼女達から見て可愛くないもの、汚らしいもの、子供っぽいものなど、少しでも規格の物差しから逸れて気に入らないものがあったなら、それは断固排除され、辛辣に潰され、無慈悲に打ち捨てられた。
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