第十七話

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 そしてタクトは、自分のダイノスティックを抜いた。腰には、将旗のスティックも刺さっていた。タクトがスティックを掲げると、瞬時に三叉の槍へと変化した。  「ルキくん、リトルちゃん……ドラゴトピアのイメージは、任せた……!」  ルキとリトルは、タクトの体に手を添える。ドラゴトピアを知らないタクトに代わり、場所のイメージは2人に託された。  「いいかい、リトル……僕らの宮殿を思い浮かべて! 宮殿だけを!」  「うん!」  3人の周囲には、デイノやティラノをはじめとするドラゴトピアンが円形に控えている。  「おうおう、イメージならオレ様たちにも任せてくれよォ!」  「デイノ、お前宮殿に入ったことねぇだろ。変なイメージを混ぜるなや」  こんなときでも軽口を叩くデイノに、タクトは励まされた。  「大丈夫よ、タクトちゃん。アタシがついてるわ」  「ランフォちゃんの大切なタクト兄さんは、あっしが守りますぜ!」  ランフォとボルヒエナも、タクトのそばに寄る。  「ボクが将旗を助けるんだ! 将旗がボクを助けてくれたみたいに!」  「高橋みたいな犠牲を見るのは……嫌だ……っ!」  タクトは掲げた槍を両手に持ち直す。すると槍は金色に光りだした。  「自分、無鉄砲なショーキのこと、好きになっちまったんだよなあ。助けねえとなあ」  「私だって。うふふ、なんだか放っておけないのよね」  タクトの周囲に風が起こる。竜巻のような暴風は、地面から沸いているようだった。  「フン……我が認めたマスターだ。みすみす惑星盗賊に盗られてたまるものか」  そしてタクトは、三叉の槍を地面へと突き立てた。  「行くぞ! 次元散分岐(トライディメンション)ッ!」  オルドビス博物館の跡地から、光の粒子が霧散した。 ***  そこは、大きな大きな穴だった。  サッカーコートがいくつ入るかもわからない、とてつもなく大きく深い穴だった。  「う……」  穴のなかには何もない。その代わり、壁一面にタマゴのような丸いものがたくさんくっついていた。ひとつひとつのタマゴのなかには、恐竜の幼生のような生き物が入っている。生まれるばかりの幼生たちは、なぜか動こうとしなかった。
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