第十七話

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 「鬼王の力を感じているからなのか、はたまた、中で息絶えているのか……ふふ、興味深い現象だな」  タマゴたちは自ら淡い光を放っているようで、穴は決して暗くはなかった。しかし、通常であれば神秘的だと感じる空間も、今は静まり返り、ただ不穏だった。  「ここは本当に美しい。宇宙を奪った後も、この空間はシェードランプ代わりに残しておこう。きっと、混沌とした宇宙を彩るオーナメントとなるだろう」  ケイオスは、エッグパレスの中心で深呼吸した。そして何かにもたれかかる。それは特大のタマゴだった。ゆっくりと鼓動を刻むタマゴは、馴染みのある琥珀色をしていた。  「なあ、アーサーの子どもよ──いや、鬼王よ。どうだい?」  タマゴのなかには、眠る将旗が浮かんでいた。胎児のように丸くなった将旗の周りには、鬼王という新たな肉体が形成されつつあった。
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