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凛子への思いが募れば募るほど、龍也と警察への憎しみが湧いてくる。
限りなく黒に近い、覚せい剤犯罪の関係者の病室に通う警察官の行動は、瞬く間に署内での噂になり、ほどなく上司から叱責を受け、その翌日には監察課長から呼び出しを受けた。
凛子と別れる以外、警察で生きる道はないと言う。
組織への非難を口にしたが最後、警察では二度と這い上がれない。
そもそも、凛子との関係が発覚した時点で、俺の警察人生は終わっている。
潮時だった。
最後まで無言のまま、黙礼して交番に帰った。
監察課長は満足したようだ。
内ポケットから辞表を取り出し、机に置いた。
それで終わりだった。
夏になると凛子は退院し、佳子と2人で暮らし始めた。
俺は物書きとして、憎しみのエネルギーを、犯罪と、警察内部の暗部を暴き出す連載小説にぶつけ、あの雑居ビルを支配していた組に入り、暴力と共に生きる道を選んだ。
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