白骨

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白骨

あの夜、龍也に麻薬特例法違反で逮捕された上村 茂が服役を終え、出所してきた。 その数日後、俺は組の名前を使って上村を呼び出した。 「あんた、あの女の居場所知ってるんだろ。教えろよ。あいつは俺の女だ。歩けなくなってるらしいが、まだ使い道はあるんでね。」 薄笑いを浮かべる上村めがけ、俺は、やにわにスコップを振り上げ、その顔を滅多打ちにした。 警察学校の道場で、教室で、正義を全うする刑事になろうと誓いあった龍也の顔や声が、遠い昔の出来事となって甦る。 恐怖も後悔もなく、ひたすら上村を打ち続けた。 密やかに夜が更けていく。 上村は近県の山中に埋めた。 凛子、お前はもう自由だ。 どこにだって飛んで行ける。
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