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電話の向こうで、佳子の声は涙混じりだった。
俺は目の前にあった中央ターミナルから方向転換し、マンションに向かった。
すでにその廻りは赤色灯の光の渦で、凛子が救急車に運ばれて行くのが目に入った。
駆け寄ろうとした俺は、救急車の目前で宙を舞い、道路に叩き付けられた。
後ろ手に押さえつけられ、聞き覚えのある声で
「いい加減にしろ。目を覚ませ真吾。」
龍也。
凛子を載せた救急車が発進する。
俺は、必死で目で追う。
がなり続ける龍也の声が、遠くにこだましている。
だらしなく伸びた体を引きづられながら、パトカーに乗せられた。
俺は、全て自白した。
話題の連載小説「尻尾」
著者の流求は元警察官
残忍殺人を小説で告白か??
マスコミはセンセーショナルな見出しを付けて、連日囃し立てた。
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