【 10年後 】

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そう。彼は私の願っていた以上の立派な男性になって、私の元に帰って来てくれた。 「ごめんなさい。私はあなたのことが好きだったのに…。今、こんな形でしか想いを伝えられないなんて。 あなたが好きです。 誰よりもあなたのことを愛しています」 私の告白に、彼は満面の笑みを浮かべてくれた。 「ありがとう。僕も君が好きだ。誰よりも愛してる」 彼に抱きついた私を彼は優しく抱きしめてくれた。 病気のせいなのか、こんなに細く弱々しい体なのに… しかしそんな幸せな時間は唐突に終わりを告げた。 「さあ、そろそろ時間のようだ。 残念だけど、これで君とお別れしなきゃならない。 やっぱり僕は死んでしまう運命みたいだし」 そんな…やっと逢えたのに… 「君はこれから僕のことは忘れて新しい恋をして欲しい。分かったね」 私は何も答えられなかった… 「あっ」 彼の姿が徐々に消えていく… 「待って!行かないで!」 美希は必死に叫んだが、止まらない。 「美希、さようなら! ありがとう、待っててくれて…」 彼は最後の言葉を言い残すと、その場から完全に居なくなってしまった。 誰もいなくなったその空間に向けて美希は呟いた。 「多分ずっと先になるけど、今度は私があなたに逢いに行きます。 それまであの世で待っていてもらえませんか。」
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