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そう。彼は私の願っていた以上の立派な男性になって、私の元に帰って来てくれた。
「ごめんなさい。私はあなたのことが好きだったのに…。今、こんな形でしか想いを伝えられないなんて。
あなたが好きです。
誰よりもあなたのことを愛しています」
私の告白に、彼は満面の笑みを浮かべてくれた。
「ありがとう。僕も君が好きだ。誰よりも愛してる」
彼に抱きついた私を彼は優しく抱きしめてくれた。
病気のせいなのか、こんなに細く弱々しい体なのに…
しかしそんな幸せな時間は唐突に終わりを告げた。
「さあ、そろそろ時間のようだ。
残念だけど、これで君とお別れしなきゃならない。
やっぱり僕は死んでしまう運命みたいだし」
そんな…やっと逢えたのに…
「君はこれから僕のことは忘れて新しい恋をして欲しい。分かったね」
私は何も答えられなかった…
「あっ」
彼の姿が徐々に消えていく…
「待って!行かないで!」
美希は必死に叫んだが、止まらない。
「美希、さようなら!
ありがとう、待っててくれて…」
彼は最後の言葉を言い残すと、その場から完全に居なくなってしまった。
誰もいなくなったその空間に向けて美希は呟いた。
「多分ずっと先になるけど、今度は私があなたに逢いに行きます。
それまであの世で待っていてもらえませんか。」
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