プロローグ(テイル3)

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プロローグ(テイル3)

[プロローグ]  女優天津悶(あまつもん)として、仕事中心の生活は続いていた。学業よりも優先なので、学校を休むことも珍しくはない。  学校に行かない日がある分、勉強は学校以外で補う必要がある。仕事の合間や、家で自主的に勉強するのだ。それを苦に感じることは、悶にはない。  インターネットで、学習のサポートをおこなうサービスも、今の時代は選べるほどに充実している。それでも、それらのサービスは使っていない。自習だけで十分な成果が出ているからだ。授業より進んでさえいる。  中学生の間は、自習だけでやっていける。  とはいえ、自習で補えないことも沢山あった。体育や道徳など、知識だけでは、どうにもならない科目は、どうしても遅れていってしまう。特に運動神経は、かなり悪い。走ることを禁じられるレベルだった。  同世代の他の子と比べると、身体も小柄だった。食べても全く太らない。懸命に食事をすることで、なんとか体型を維持できる。普通に食べているだけだと、痩せていってしまうのだ。マネージャーの和久井育和(わくいいくわ)曰く、沢山仕事をしているかららしい。病気ではない。 「新しいお仕事、役のイメージが湧かないです」     
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