87人が本棚に入れています
本棚に追加
「こーちゃん!おつかれー!」
こっちをチラッと見たその顔には疲れが滲んでいる。
「おぅ。」
「疲れた?どうだった仕事は?」
窓枠に体を預けながらそう聞く。
うちとこうちゃんの家は都内密集地の建売物件のお隣同士だ。
息苦しくなるくらい近い距離に同じ様な家が軒を連ねている。
でもこの息苦しい空間に私は感謝している。
大好きなこうちゃんをこうやって独り占めする時間が持てるから。
こうちゃんを見ながらボーっとそんな事を考えていると
こうちゃんはネクタイの結び目に慣れた手つきで指を入れる。
そのネクタイをシュッと取り、クローゼットを開けながらこっちを見ずに
「ん?楽勝?」
と見た目とは裏腹な答えを返してきた。
スーツ姿のこうちゃんにも大分見慣れてきた。
いつものだらしなーい感じのヨレヨレTシャツとのギャップがすごいけど。
最初のコメントを投稿しよう!