エーデルワイズとプーム

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男女を旅立たせるという不思議な花の話。 見知らぬ男女をおびき寄せてカップルにしたならその雄蕊だか種だかをどこかへ運ばせるっていう不気味なやつのこと? あれが生えているのはこの都市のどこかではないね。その場所はここから西の山の向うの砂漠を超え、そのさらにいくつかの都市を超えた場所からもまた果てしなく進んだ先に出て初めて見つけることが出来るかもしれないと言われている物。 つまりそんなものは場所はないということ? つまりは彼女達の話すその内容は適当だってことさ。 そうなの? そうさ。カフェテラスに座る二人の目的は、会話をして何かを知ったり整理したり解決すると言ったことになく、ただグダグダと話をすることがそうなんだから。 ぐだぐだと? だが彼女達はある意味では合理的と言える。それはさして重要な情報ではないからね。 そうかしら? その植物が都市の一角に生えていたとして、その場所を知らなければ、それはどの都市にあろうと同じことだろう? まあそうね。 だが日常の生活やこれまでの人生を投げ出して旅立った彼女はどうなるだろうね。 都市での人生が充実していたかは別として?結末なんてその時の彼女にしかわからないし、それがどんなものでもその彼女の心境なんてものはやっぱり彼女にしかわからないものだろうけどでも今のところ、いいえ、その旅の間の彼女にとっては夢が続いているものならどんなことがあったところで彼女はそれを幸せと感じるものなのかもしれないわ。いいえ、そう感じることができるということ。 そういうものかな? だって今の彼女は彼女の見るその夢のために生きる時間の全てをかけているのでしょう?あなたもそう思ってあげるべきよ。 そうだね。夢が続いているものならそうなんだろう。 いやな人だわ。 僕が? 旅の行き詰まりを予感させるような言い方はしないでほしいわ。 そう聞こえてしまった? でも確かに彼女の旅はそういうものなのかも。彼女は彼の夢が進みさえしていればその現実がどんなに過酷なところで彼女はそれで満足しそうだし、もし彼女の見る彼の夢が先に進まなくなってしまった時が来たなら彼女は旅に、人生に行き詰まっていると感じるものでありそう。 そういう状態に陥った彼女のことを君は想像してしまう?
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