エーデルワイズとプーム

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旅に出るということは未だ見たことが無い景色や人に出会えるだけではないということさ。 彼女はそういう意味では旅に出てよかったものだけど、一方で旅に出ず都市で暮らし続けたとしたところででもそれはある程度の幸せというか安寧の日々を彼女は過ごしていくことはできたんじゃないかしら?都市で暮らし続けたなら見知った人ばかりだし、話の輪にもすぐに入っていくことが出来るし、人に囲まれて暮らすことが出来る。食事だって自分のなじみのあるものばかり。 そうだね。 食べ物って結局おいしいおいしくないよりもそれが慣れているものかそうでないかってことになるもの。 また都市に居続けるなら衛生的な暮らしもできるし空気も合っている。身体を壊すこともあまりないと言える。もし病気になったとしてお見舞いに来てくれる友人だっているかもしれない。 心細いなんて感じることも無さそう。 ただ彼女はそうは言ったものの、友人や周囲の人間関係が良かったかと言えばそうでもないらしい。 そうなの? 彼女と会話をする必要があったりなにかしら関わらざるを得ない場面を迎えることになった人達はみなあまりいい気分にはならないみたいだ。人によっては彼女との接触をなるべく避けようとする人もいる。いいや、かなりの割合がそうかもしれない。 どうして?多くの、たぶんほとんどの人にそう感じさせてしまう彼女はいったいどんな人なのかしら。単純に口が臭いとか? そうかもしれないが聞くに彼女はひどく不愛想で、それにしては会うたびに金の無心や危ない話に誘い込もうとしたり、とにかく一般市民が危機を感じたり不快と思われる言葉ばかりを口にしたり、もしくはしようとしてきたりするらしい。 実際そうなのでしょう?どうしてそんなんなっちゃったかしら?誰かの育て方が悪かった? 彼女がこうなったのは成人してから。たくさんの人に囲まれて慕われ愛されるような人ではなかったが、他の人と同様普通の一般人ではあった。
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