O-side-

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 同じ研修中の仲間は面白可笑しく会話をしながら、今夜の夕飯に悩んでいた。俺は正直、この研修中のホテル暮らしが正直楽しみであった。24歳で円満結婚をし、5年の月日がたった。妻とは上手くいっている、が、正直少し飽き飽きしていた。スリルが、足りない。普通の夫なら、今俺がやろうとしていることを考えないだろう。引かれる、確実に危ない橋を渡ろうとしている。けど、何となく踏み出したほうが良い気がした。というか、直感的なものだろう。男というのは平坦な道だけ歩きたい人だけではない。むしろスリル満載を望む人のほうが多いのではないだろうか。いや、でもこの状況はよくない。今俺は研修中の身だ。我慢。・・・でも。  何故俺はこんなに悩んでいるのか。それは今俺の視線の先にある俺と同じカウンター席に少し距離をとって座っている、20歳前くらいの彼女が原因だ。肩くらいの長さのこげ茶色の髪をわずかに揺らし、スマホに視線を落とす彼女である。いや、別に俺の彼女ではない・・・。理解してくれ。当然このホテルに宿泊している人すべてにお食事券は配られる。そのため、この居酒屋に足を運ぶものは数多くいるのだ。なんだってほぼ無料であるからだ。人間は無料に弱い。俺もその一人だが・・・。俺の視線の先にある彼女も、無料券を握りしめ、メニューを眺めて始めた。どうやら彼女も無料には弱いようだ。  彼女は可愛い顔をしているが、肌はそこまで綺麗ではない。むしろニキビがある子だ。でもなんだか気になる。背丈も少し小さいかな?というくらいの普通の女の子だ。痩せ型でモデル体型。誰も文句を言わせないような体型だった。今日の彼女は白の薄手のニットに、今はやりのもんぺみたいな・・・。あ、失礼。ガウチョパンツですね。     
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