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男はこういうのには疎いのだ。さて、話を戻そう。
彼女は黒のガウチョパンツを履いている。上着に紺のカーディガンを羽織っている。どちらかというと、シンプル。酷い言い方すると地味。でもそこが良い。品がよさそうな女の子。うちの妻とは大違い・・・。あ、大変失礼しました。酒も飲んでよい気分になっているからだろうか、考えがまとまらない。ダメだけど・・・話してみたいな・・・。と、思ってしまう。そう、運命の選択とは彼女に話しかけるか、話しかけないかの選択だ。小心者の俺にとっては究極の選択だ。・・・どうしたら良いものか。
そうこう妄想しているうちに、居酒屋のドアが開き、
「サキー、なんか頼んだ?」
「ううんまだ。悩んじゃって」
「私たちは飲むぞー」
彼女の隣に2人の女性が座った。髪を一つに結った痩せ型の女性と、すこしぽっちゃりぎみの優しそうな顔立ちをした女性。仲良さそうにメニューを指さしている。すぐに決まったそうだ。店員を呼び、注文をしている。・・・それよりも、あの子の名前はサキなのか・・・。ぼーっと眺めていると、一瞬彼女がこちらを向いた。
「・・・ぁ」目が、あった。・・・かも?
彼女はすぐに目をそらした。と思う。俺も焦って目をそらしてしまったためだ。俺は、実をいうと彼女を一週間以上前からこうして眺めている。
彼女を見つけたきっかけは単純だった。
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