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「そろそろ離してください」
予鈴の音とともに周囲にざわめきが戻る。
このまま、というわけにはいかないだろう。
「とりあえず自己紹介だけしときますね。私は鶴来 青です。先輩の名前はなんですか」
「つるぎあお…あおか……。俺は黒瀬 広光。2年だ」
「くろせせんぱいくろせせんぱいくろせせんぱい、はい多分覚えました。予鈴なりましたしとりあえず話は後にしましょう。昼休みになったらゆっくり話せますから」
「………わかった」
名残惜しそうにゆっくり手を離したあと、周囲の視線など気にも止めずに扉を出て行く姿にほっと息をつく。
「…青ちゃん、ねえいまの先輩ってさ」
「ごめん後にしよっか。先生来るし」
心配そうな木野瀬さんや興味深げなクラスメイトの視線に応える事なく席に着く。
日本史の先生は優しいひとだ。90分、ノートだけは書きつつとりあえず昨日とやらのことを思い出しておこう。
昼休みは長くなりそうだ。
本鈴を聞きながら教科書とノート広げ、ぼんやりと思考を始めた。
高校でもやはり、静かに1人ではいられなそうだ。
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