彼女について

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幼稚園、そのあと小学校、中学校と俺はあいつと一緒だった。 クラスが分かれることもあったし、部活もありいつも一緒にいたわけではない。 それでも普通の友達よりは顔を合わせる頻度が多かった俺は、同じような光景を何度も目にすることになる。 同級生、先輩や後輩、先生、用務員さん、たまに行くお店の店員さんから果てにはどこで知り合ったのかサラリーマンまで 気づいたらあいつの近くにいる仄暗い目をした人達。誰かや何かに重ねる目、縋るように見つめる目、監視するように片時も離れない目。 それらの目は大体近くにいる他の人を敵視するから、俺は中学あたりからあいつから少し距離を置いた。 家が近いし親も仲が良い、俺もあいつが嫌いじゃなかったから完全に離別はしなかったが、一緒にいる時間は少しずつ減らしていった。 怖かったからだ。 いつかの先生のようなあの目が そして俺から見て異常としか言えないあれらの目線を、当然のように受け止めるあいつも 俺は普通に過ごしたかった。普通の人に囲まれて平凡に過ごしていたかった。 距離を置くことを伝えてもあいつの態度はさして変わらなかった。 それだけが、救いだった。
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