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ドラマか何かなら素敵な場面だろう。
感動的に抱き合う男女2人。身長差もあり今にも音楽が流れそうな
しかしここは教室。どこにでもある公立高校のただの10分休み。
周囲がざわめきつつ凝視こそしないがちらちらこちらを気にして何かをいう姿は、見知らぬ男に抱きしめられつつも視界の端にうつる。
「やっぱり同じ学校だった、探したぞ」
「ええ…誰ですか何ですかどうしたんですか」
「釣れない事を言うな。昨日会っただろう。探した、制服を着ててくれて本当によかった。見つけられた」
「なあ、おれの かみさま」
教室が静まり返る。
腕を外して見上げたその顔は、心から嬉しそうな、それでいて今にも泣きそうな
迷子の子供が親に会えたようなそんな表情で
光を溜め込んだ、きらきらした目をしていた。
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