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出逢う
6月
入学式から少したち、クラスも少しずつまとまり始めてきている。
休み時間や空き時間の教室はいくつか人の塊があり、グループが定まってきているその中で
窓の外をぼんやり眺める少女がひとり。
「空がせまい………」
誰にも聞こえないような小さな声でぼりと不満をこぼす。
窓ガラスで四角く区切られてしまった空は、古びたカーテンもあいまってとてもせまい。
せっかく今日は綺麗に晴れてるのに。
「青ちゃん」
だいたいなんで学校ってやつはどこも屋上に入れないんだ。
転落防止ならフェンスで十分だろうし、自殺防止なら意味はないだろう。
飛びたい人は窓からでもベランダからでも飛ぶだろうし、飛ばない人は飛ばないままだ。
屋上の鍵さえ手に入れば
「青ちゃん」
ああ早く放課後になればいい。
はやくはやく広い空が見たい。空を見上げて流れる雲をずっと眺めていられたらどんなに
「青ちゃん!!」
「はい」
思考の海からなんとか浮上すると、案の定怒ったような顔がある。
「ごめん、考え事してた」
「だろうね!全然気づかなかったもんね!」
いらだたしげにポニーテールがゆれている。一応誠意を込めて謝ったのでそんなに怒らないでほしい。
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