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昔々、その昔。
古と呼ばれるほど遠い昔。
そこには、人々の住む村があった。
小さな村は活気に溢れ、
忙しながらも、皆幸せに暮らしていた。
そんな村に、ある日女の子が産まれた。
女の子は可愛らしく、慈愛に満ち、
まさに、「天使」と呼ぶに相応しかった。
しかし、村は惨劇に見舞われる事になる。
ある日の夜を境に、
村に人の死骸が転がるようになった。
その死に様はあまりにも無残で、
心臓のみが抉られ、
体と衣服は血まみれになっていた。
人々は死を恐れ、
次々とこの地から離れて行った。
村人が半分程減ったのち、
「天使」と呼ばれた少女が
人殺しの罪に処された。
刑は火炙り。
死の間際、
少女は涙ひとつ流さず、
ただ薄暗くなりゆく空を眺めていた。
天使は静かに息を引き取った。
少女がこの世を去り、
残虐な殺人は途絶えた。
人々の心には、
束の間の平和が訪れた…。
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