第五章 涙色のカフェ

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球技大会の翌日の土曜日は、朝から雨だった。 「予報通りかぁ」 ちょっぴり憂鬱になりながらも、今日はバレーチームのみんなと打ち上げだ。 ゆうべ理恵に『やっぱり行くことにしたよ』とラインを送ったら『やったー!』と返ってきて、ほっとした。 理恵だってデートより打ち上げを優先しているんだもんね。 さて、何を着て行こうかな?クローゼットを開けて服を選んだ。 雨だから、長いスカートより膝上のキュロットかな。 上はこの前買った水玉のカットソーと…上着はデニムのブルゾン?それともカーディガン?肌寒いかもしれないからブルゾンにしようかな。 足元はハイカットのコンバースで。よしっ。 みんなとは二時に長谷駅の改札を出た所で待ち合わせをした。 雨でも江ノ電は混んでいた。 今年最後の、散り際の桜をあきらめきれない人たちが、列をなして改札から出て行く。 私もその流れに乗って小さな駅舎を出ると、色とりどりの傘を差した友人たちが待っていた。 「春ちゃん!」 若葉ちゃんがすぐに見つけて声を掛けてくれた。 白のスリムジーンズの上に、ふわっとしたブルーのシャツを合わせている。 シンプルだけど若葉ちゃんのスタイルの良さが際立って、かっこよかった。 「おまたせー」と言って近づくと、制服とジャージでしか会ったことがない友達が、私服で固まっているのが華やかで新鮮だった。 「ハル、可愛い!」と言ってくれた祐希ちゃんも、スポーティーな普段のイメージとは違うふわっとしたフレアースカート(花柄)でとっても可愛い。
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