第一章 おはよう

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ピ・ピ・ピ・ピ・ピ ・・・・・・・・・ ピピ・ピピ・ピピ・ピピ ・・・・・・・・・・・ ピピピ!ピピピ!ピピピ!ピピピ! ジリジリジリジリジリジリジリジリ Wake up!Wake up!Wake up! バタンッ!! 「おねーーーーちゃん!!!」 勢いよくドアを開けて、妹が叫びながら部屋に入ってくる。 「…ん?あ、ナツおはよー」 「おはよーじゃないから!はやくとめてぇ!!!」 両耳を塞いで絶叫する妹に 「あ、ごめんごめん」 と謝りながら、枕元に置いてある三個の目覚まし時計を手探りで順番に止めて、スマホのアラームを最後に止めた。 こんなに鳴らしているのに、結局隣の部屋で寝ている妹に起こされるのよね。 私の耳、どうなってんだろ。 「ほんと、毎日毎日いいかげんにしてよね!私、まだ一時間寝れるのに!」 「ごめんて。もう一回寝たら?起こしてあげるから」 「もう、寝れないよっ。音階が気持ち悪いんだよ!」 ぷんぷん怒りながら、妹が部屋を出て行く。 二つ年下の夏菜は、私立中学のピアノ科に通っている。 絶対音感の持ち主で、音にはとても敏感なのだ。 本当に悪いと思ってるよ。だけど絶対に寝坊できないんだもん。 私は勢いよくベッドから飛び出した。
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