第十四章 未来へ

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理恵が進んで馬鹿をやっていることはわかっていた。 それも全て私の為だということも。 『少しでも春陽に笑って欲しくて』 口には出さないけどその気持ちはありがたいし、嬉しい。 だけど私はわかっていた。 理恵はあれ以来サーフィンを止めてしまった。 学校へ戻ってからすぐに、理恵が海へ行っている様子がないことに気付いて聞いたことがある。 「理恵、最近サーフィンしてる?」 「あー…もう寒いからね。シーズンオフかな」 「うそ。去年の今頃はまだやっていたよね?」 「ん…今はちょっと。また春になったらね」 それ以上は何も言えずに、そのままになっている。 だけど今日の碧樹の姿を見て、理恵にもまたサーフィンをして欲しいと思った。 あの、誰よりしなやかで美しい理恵のサーフィンをもう一度見たい。 今度会ったら話してみよう。 私のために止めないで、と。 ふいに黙り込んだ私の顔を、じっと見ている碧樹に気が付いて 思い出した文句を言うことにした。 「そう言えば」と前置きしてから 「入院中、理恵は毎日顔を見せてくれたのに、碧樹はあんまり来てくれなかったじゃん。お母さんに聞いたら、意識が戻るまではあおくん毎日来てくれたのよーなんて言うし」 「漫画持って行ってやったじゃん」 「そうだけどすぐ帰っちゃったじゃん」 あの時の寂しい気持ちを思い出して、拗ねてるみたいな口調になった。
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