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「そう。ハルのおじさんにスカウトされたから」
「えっ!うちの歯医者を継ぐつもり?!」
「うん。ダメ?」
「ダメ?ってダメ…ではないけど、でもなんで急に?」
「俺、ほんとにやりたいことがなくてさ。このまま普通に大学行って、ただのサラリーマンになるんだって思ってたんだ。でもハルが入院している間、お医者さんとか看護師さん以外にもリハビリの先生やレントゲン技師さんやたくさんの人が医療に関わっていて、患者さんみんなに感謝されていて、こういう仕事っていいなって思ったんだ。
でも今から医学部はキツイだろ。歯科大でも浪人するかもしれないけどさ。でも頑張って歯医者になるよ。それでうちの向かいの歯医者に永久就職する」
「永久就職って…そりゃうちのお父さんは大喜びだけど。でも本当にいいの?」
「うん。だからさ、ハルはそこの受付で笑ってればいいんじゃないの?」
「え?」
「怖がって泣いてる子をあやしたり、小学生に歯磨きを教えたりしながらさ」
「それって…私にできることを考えてくれてるんだね」
碧樹の言いたいことがわかって少し落ち着いたけど、それなら碧樹は私の為に歯医者の道を選んだことにならない?
不安顔になった私が何かを言う前に、碧樹はまた爆弾を投下してきた。
「いや、ハルはなんだってできるよ。だからこれは一つの提案ね。つまりプランA」
「A?AってことはBもあるの?」
「あるよ。Bはすごいよ、聞きたい?」
「聞きたい!」
なんだかよくわからないけど、すっかり碧樹のペースに巻き込まれている。
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