第十四章 未来へ

35/40
前へ
/478ページ
次へ
「いやでも真面目な話、さ」 「うん」 「俺たちはまだまだ若くて、やろうと思えばなんだって出来ると思うんだよ」 「うん!」 「ハルは今までもずっと全力で頑張ってきた。俺は本当にハルに助けてもらった。今の俺がいるのはハルのお蔭だと思ってる」 「碧樹…」 「だからさ、これからはもっと俺を頼って欲しい。なんでもするから傍に居させてほしい。俺がハルの足になるから」 なんて…今、なんて言ったの? 今の自分がいるのは、私のお蔭だって? 傍にいさせてって…碧樹が、私の足になるって…そう言ったの? 自分の耳が拾った言葉が信じられなくて、急速に熱くなってくる顔を見られたくなくて、私は俯いて黙り込んだ。 ドキドキする胸を押さえていると、心配した碧樹が顔を覗き込んできた。 「ハル?もしかして…泣いた?」 私はバッと顔を上げると、叫ぶように言った。 「泣いてない!」 泣いてはないけど、もう泣きそうだった。 とにかくこの顔を碧樹には見られたくない。
/478ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加