第十四章 未来へ

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「なんかね。私今すごくじっとしていられない気分なの」 突然の私の言葉に驚いて「へ?」と言う碧樹に 「砂浜を歩きたい。碧樹、おんぶして」 と言うと碧樹はびっくりしたように「お、おお」と言って、すぐに立ち上がった。 「これ、貸して。ハルが濡れないように」 私が膝に掛けていたタオルを、ウェットスーツを着た背中に羽織ってから、碧樹は私をおんぶしてくれた。 「よいしょ」と立ち上がると、びっくりするぐらい軽々と歩き出す。 思っていたよりも大きな背中に、がっしりとした肩、それに比べて細い腰。 私の顔の目の前で、薄茶色の髪の毛がふわふわ揺れてくすぐったい。 「こんなの何年ぶりかな」 照れ隠しにつぶやくと 「昔はハルの方が大きかったから、よく俺がおぶってもらったよな」 と言う。 碧樹もちゃんと覚えていた。 「そうそう、碧樹は小さくて細くてひょろひょろで」 「あー馬鹿にした」 「ふふっ、でもとっても温かかった。小さくて白くて可愛くて」 「猫かよ」 「そうだよ。可愛い白猫みたいで。私が守るっていつも思っていたよ」 「ふっ形勢逆転だな」 「ほんと、いつの間にこんなに大きくなったのー。こんなに高い目線でいつも見ているんだね。ねぇ重くない?」
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