第十四章 未来へ

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やっぱり届いてはいなかったみたい。 すぐに碧樹が言い返して来る。 「馬鹿はハルの方だろ。誰が簡単に下すかよ。どんだけ苦労して捕まえたと思ってんだ。もう絶対離さないって決めたんだから。大人しく俺に背負われててくれ」 今度こそダメだった。 完全に打ち抜かれてしまった。 碧樹の首に回した腕が、震えているのが自分でもわかる。 このままでは気付かれてしまう。 私が泣いていることに…。 私は頭を上げて、碧樹の耳元で叫んだ。 「碧樹っ!」 「うわっ」 驚いた碧樹が声を上げる。 「走って!!」 いきなりの私の命令に碧樹は 「は?何をいきなり」 と言い返した。 「いいから、走って!今砂浜を激走したい気分なの。はやくっ」 「わかったよ!捕まってろよ。いくぞ!」 碧樹は走り出した。 裸足のまま、この砂浜を。 私は碧樹の背にしがみつきながら、「もっと、もっと」と煽った。 片手をぶんぶん振り回して 「もっと、もっと速く!!遅いよ碧樹。ほら、江の島に向かってはしれー!」 と叫ぶ。
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