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「おまえまじかよー、下砂浜だぞ」
「まだまだ!私の足になるんでしょ?」
この言葉に、一瞬碧樹の動きが止まった。
「私の足はこんなもんなの?もっともっと早く走れるよ!」
ついに碧樹に火を点けたらしい。
「よし、行くぞー!!」
と言うなり、全速力で駆け出した。
「いけー!!」
「うおー!!!」
すごい!まるで自分で走っているみたい。
碧樹にしがみつきながら、風を感じた。
けれど私が感じた疾走感はすぐに失速してしまう。
あれ?と思っていると碧樹は突然その場をぐるぐると回りはじめる。
「きゃー!!落ちるっ落ちるぅ」
「ほら、ちゃんとつかまってろって」
遠心力で振り回されそうになる私をおぶったまま、わざと波打ち際に行って水を跳ねさせて。
「きゃー!冷たいぃ」
と叫ぶと、またぐるぐる回る。
「もう酔うっ酔うからぁ」
「俺も目ぇ回ってきた」
「もう信じらんない、碧樹のばかぁ」
「あはははは」
笑いながら、砂浜で振り回されている。
見上げる空はどこまでも青くて、私の目にも眩しかった。
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