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「おはよー!!碧樹、起きてるー?」
一瞬の間のあとに
「おお、起きてる、起きてる」
と声がした。
この声は、まだベッドの中だ。間違いない。
スマホを持ったまま、だだだだだっ!と階段を駆け上った。
勢いよくドアを開けると、やっぱりまだベッドの中にいた。
ギリギリ起き上がってはいるけど、目は開いていない。
「今日もいい天気だよ!」
と窓を開けると、やっと目を開けた。
いつものようにベッドの上に着替えを並べて、持ち物のチェックをする。
「ほらぁ、下で待ってるから、早く早く!」
「へーい」
やる気のない返事を聞いて、部屋を後にした。
碧樹とは向かい同士の家に住む、幼なじみだ。
今年高校二年の同級生。
五歳の時に碧樹が両親と一緒に、鎌倉の実家へ引っ越して来てからの付き合いで、小学校からずっと一緒。
小学二年生の時に、お母さんが亡くなって、それ以来私が碧樹のお世話係になった。
碧樹が支度をして降りてくるまでの間、私は仏間に向かう。
仏壇の前で手を合わせて、碧樹のお母さんに報告をするのが日課になっている。
「碧樹は今日も元気です!」
報告と言ってもその程度なんだけど。
でも、お母さんが一番聞きたいのはそれなんじゃないかな、と勝手に思っている。
碧樹が元気で、今日も楽しく一日を過ごすこと。
私にとっても、それが一番大切なことだから。
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