【4】

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私はドキドキしていると、兄が「話してきなよ」と言ってきた。 私は「えっ?!はっ話すことなんて、何にもないよっ!」と言いしどろもどろになっていると、その様子を桑島さんが見て、笑っていた。 「兄妹仲いいんだね。」と言ってきた。私はその笑顔にドキッとした。 私は「全然ですよっ!たまたまですからね!」と言うと「ふーん…俺も姉貴がいんだけど、紐尾さんとは正反対なんだよね。」と言い、缶コーヒーを飲み始めた。 「お姉さんがいるんですね!どんな人なんですか?」とパニックになりながら、桑島さんに聞くと「んー…一言で言うなら、うちの姉貴自閉症なんだよね」とさらりと言った。 唖然としていると、さらに「まっ、そこが可愛いんだけどね。じゃあ、そろそろ帰るわ。えーっと…今度いつだっけ?」と桑島さんは缶コーヒーを一気に飲み干した。 私は「今度は明後日です!桑島さん、このことは内緒にしておきますね」と言うと、桑島さんが「了解。えっ?何で?ごく一部のスタッフの間では、知られてるから、平気よ?」と今までに見せたことのない笑顔で話しながら、携帯電話を取り出すと画像を見せてくれた。 そこには、可愛らしい女性と桑島さんが写っていた。「姉のゆかり。明後日、二人でお店に行くから会わせるよ」と嬉しそうに話してくれた。 私は、その笑顔に胸が苦しくなった。正直な話、同情をしてしまい失礼なことを言ったのに、桑島さんは普通にゆかりさんの写真を見せてくれた。 私は恥ずかしくなり、桑島さんに謝罪をした。 「んー、気にしてねぇけど。でもありがとう。じゃあまたな」と言うと、兄にお辞儀をすると帰っていった。
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