沈む夕日を綺麗だって笑うあなたが好き

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 コイツのオカルト好きは、こうなると私がきっかけと言っても過言ではないな。自分のことながら後悔をする。でも、後悔もしきれない。 「……なんか見えた?」  コイツの隣に腰を下ろして、私も縁側から夕暮れに向かっていく空を見上げた。 「雲とか」 「……そうだね」 「夕焼けがキレイだね」 「……そうだね」  相変わらずコイツはマイペースだ。なんか見えないかな、なんて言っているくせに、沈んでいく太陽を綺麗だって笑うところとか。  コイツの見上げている空を見るのをやめて、隣にいるこのマイペースな幼馴染みにこっそりと視線を移した。のんびりとした、穏やかな顔。  私の視線に気付いたのか、このマイペースはこっちを見た。それで、ふわふわと笑う。  ……心臓が、少しだけ痛くなった。  やっぱりマイペースだからこっちを見ていたコイツは視線をまた空に移して、パッと表情を変えた。私を呼ぶように、ぽんぽん、と私の右肩を軽く叩いてくる。 「ねえ、ねえ、なんか飛んでるよ!」 「ええ?」  そう言われて反射的に見上げた空に跳んでいるのは、……明らかにヘリコプターで、呆れて笑ってしまった。 「……ヘリコプターじゃん?」 「あ、ほんとだぁ」  私が告げると、コイツはまたゆったりとした緩やかな、穏やかな声に戻って、おかしそうにクスクスと笑った。  ――そういうところがさ、好きなんだよ。  コイツがオカルトちっくなものを好きな一端を担ってしまったことには後悔してる。本当はもっと、他のこととか、たとえば、コイツに似合いそうな可愛い服の話とかしたいのに。だけどそれを後悔はしきれない。  おばけ? なんてキラキラ輝いた目をしたコイツのこと、私はあのときからずっと好きだ。  おかしくて、しょうがなくて、思わず笑ってしまった。 「ほんと、マイペースだなぁ」 「でも優ちゃんいつも付き合ってくれるから好きだよ」  ふふ、とまたマイペースにコイツは笑って、ああもうほんと仕方ないなって、自分自身のことを心からそう思う。しょうがないんだよね、好きになっちゃったんだから。 「優ちゃん夕飯食べてく?」 「食べてく、おばあちゃんの料理おいしいんだもん」 「そっかー、よかった」  嬉しそうに笑うコイツは空じゃなくて私を見ていて、私はそんなコイツの笑った顔に、好きだな、なんて思ってしまうのを誤魔化すようにまた、空を見上げた。
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