キミの次に愛してる

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「ただいま」 「あ、おかえりなさい」  仕事から帰って来ると義兄は、キッチンに居る僕に真っ先に声をかけてくれる。  僕に笑顔を向けるとそのまま、奥にある和室に行くのだ。  すぐに聞こえてくる、仏壇のおりんの音。  まるで姉さんと会話をしているかのように、しばらくは何の物音もしない。  そうしてしばらくすると自室に入る気配がして、 背広からラフな服装に着替えた義兄が、リビングへと入って来る。 「これ。今月のお給料。ここに置いておくね」 「今月もお疲れ様でした」  銀行の封筒に入ったお給料を、リビングのテーブルの上へと置いてくれる。  毎月二十五日に振り込まれているから引き出してくれて構わない、と以前に言ってくれたけれど。そんな訳にいかない。  なんだか義兄のプライバシーにズカズカと入り込んで行くみたいで、どうしても出来なかった。  料理をテーブルへと僕が並べていくと、「美味しそうだね」と義兄が言ってくれる。  そして食事をしながらも、 「美味い」  と必ず褒めてくれるのだ。  毎晩それが続くものだから、なんだか僕の方が照れてしまう。  だって本当は、姉さんが作った料理の方が何倍も美味しかったに決まっているのだから。 
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