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病院を出たマリシュカと櫻井は、帝都の街並みを見渡した。
建物や道路などの状態はいつも通りだが、人気がない。
この夜の帝都の街を白い街灯が照らしているだけだ。
「人が…いない?」
「いいえ、もう少し歩いてみましょう。」
瞳を揺らすマリシュカを、櫻井は落ち着かせようとした。その声色もかなり冷静なものだ。
しばらく二人は夜の帝都の歩道を静かに歩いていたら、病院から少し離れたところにあるダンスホール(社交ダンスの場所)の方から、弱々しくか細い泣き声が微かに聞こえてきた。
ダンスホールは純白の西欧風の建物である。
「おそらく人が…いるみたいですね。」
「行ってみましょうか?」
マリシュカと櫻井はそんな会話をすれば、ダンスホールの前へと急いだ。
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