第3章〜闇に包まれた帝都〜

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病院を出たマリシュカと櫻井は、帝都の街並みを見渡した。 建物や道路などの状態はいつも通りだが、人気(ひとけ)がない。 この夜の帝都の街を白い街灯が照らしているだけだ。 「人が…いない?」 「いいえ、もう少し歩いてみましょう。」 瞳を揺らすマリシュカを、櫻井は落ち着かせようとした。その声色もかなり冷静なものだ。 しばらく二人は夜の帝都の歩道を静かに歩いていたら、病院から少し離れたところにあるダンスホール(社交ダンスの場所)の方から、弱々しくか細い泣き声が微かに聞こえてきた。 ダンスホールは純白の西欧風の建物である。 「おそらく人が…いるみたいですね。」 「行ってみましょうか?」 マリシュカと櫻井はそんな会話をすれば、ダンスホールの前へと急いだ。
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