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時は19世紀末期。
ベルリン条約によって独立したばかりのセルビア王国に人間の大人の女の姿をした謎の天使がいた。
彼女の名はタマーラ。
彼女は、踵まである美しく長いさらさらとした金と黒の混じったような色の髪を持ち、顔立ちはそこら辺の東欧人より一段と整った陶器ような美しく白い肌、アイスブルーの少し細めな瞳、まるで描いたような美しく少し垂れがちな眉毛を持ち、体型は比較的華奢で一般の東欧人女性にしては高めの180cmの背丈を持っていた。
タマーラは、自分がいつどこで生まれたのか記憶が無かった。また、周りの者たちもそれを知らない。
ただ、タマーラを知るセルビア王国の者たちは、初めてタマーラの姿を見たとき、彼女は街頭の隅でボロボロになった状態で倒れていたことだけは記憶にあった。
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いつ生まれたかわからないーーつまり年齢不明だったタマーラは、とりあえず見た目が20代半ばくらいだったので、街頭の隅で倒れていたところを救助されたばかりの頃は25歳だという扱いになった。
また、その白い肌とまるで白銀の雪景色のような美しく踵まである長い髪から、誕生日は12月31日だと推定された。
タマーラはとある一人暮らしの老婆の家に引き取られると、彼女は牛乳配達屋の仕事をしていた。その美貌と誰に対しても親切で優しくて思いやりのある性格だったおかげで、客である仕事の配達先の人間たちからはかなり人気があった。
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