序章

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そしてその2年後、タマーラは結婚して、妻となっていた。 世話になった老婆の家を出て、夫と2人暮らしをしていた。 夫の名はミロヴァンといった。 タマーラとミロヴァンは仲の良い夫婦だった。たまに喧嘩こそしたものの、幸せな毎日を過ごしていた。 そもそも、タマーラがミロヴァンと出会ったのは、ある日、タマーラが足を怪我したときに彼女はある病院に足を運んだときのことだった。タマーラの怪我はかなり深刻だが治せないこともなかった。そのとき、ある男性医師がタマーラの足を治療してくれた。彼は、顔立ちが整っている上、女性たちに優しいのでもともと女性の患者たちに人気があった。勿論、タマーラも彼に惹かれた女性の1人であった。その男性医師こそがミロヴァンだったのだ。 その後、2人は少しずつ親しくなり、恋仲になった1年後に結婚したのだった。ちなみに、プロポーズをしたのはミロヴァンからだった。 話を戻すが、あれからタマーラはミロヴァンと結婚したあとは牛乳配達の仕事を退職し、専業主婦となって家事をこなしていた。ミロヴァンは医師という多忙な職業の人間であるため、たまにしか自宅には帰宅しないので、なおさら家事をせざるを得ない。 また、タマーラにはたくさん友人ができていたので、昼には友人たちと出かけたりもしていた。友人たちの多くはタマーラと同じく既婚者だった。 さらに1年後には、タマーラは四つ子の子供たちを授かっていた。 4人の子供たちのうち、2人が男の子で残りの2人が女の子だった。四つ子の子供たちの生まれた順は、長女→長男→次男→次女だ。 ミロヴァンは滅多に帰宅しないので、殆どタマーラ1人で4人の子供たちの面倒を見ていた。 夫に滅多に会えない寂しさもあったが、子供たちの存在そのものが、母親であるタマーラに癒しを与えてくれていた。
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