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第1章~1人の看護婦~
「お父様、私、日本で働きたいんです。小さい頃から私はあの国に憧れていて…。」
女は目の前の中年の男に言った。
「…ああ、いいぞ。あそこは我々の民族に近い国だから魅力ある国だと思うからな。お前は、日本語の勉強を散々頑張っているみたいだし。ただ、そのかわり苦労は付き物だ。わかったか?」
「ありがとうございます。」
ここは、第一次世界大戦後の1921年のハンガリー王国。
この時代、ハンガリーと日本の交流は盛んになっていたので、この女性のように日本に興味を持つ者は多かった。
彼女は、もうすぐ看護学校を卒業する頃で、就職先のことを決めようとしていたのだが、彼女は日本で看護婦として働くことを希望していた。
そんな夢を抱き、女はハンガリーから日本へと旅立った。
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