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待ち合わせ
このソワソワと落ち着かない感じはいつぶりだろう?
足元の地面がフワフワして不安に揺れる気持ちと、早く会いたいなと胸の中で広がるワクワクした気待ちが混ざり合って、体の中を走る緊張感が指先を痺れさせる。
けれど、それはちっとも居心地の悪いものではなかった。
まるであの日食べたイチゴみたいだ。
甘味二割と酸味八割。
チョコ色に染められたイチゴを口に入れた瞬間を思い返し、私は小さく唾液を飲み込む。
もう何度目かわからないけれど、手に持ったままのスマホの画面を確認する。
新しいメッセージはないし、待ち合わせ時間にもまだ10分ある。
ショーウィンドウに映る自分の姿へ視線を向け、前髪を指先で触る。
二日前に切ったばかりの髪に、自分でも慣れなくて気づくと前髪の先を引っ張る癖がついてしまった。
変、じゃあないよね……??
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